2005年4月14日

ドイツでは、中国や韓国での反日運動や批判的な見解に関する報道が増えています。私にとって興味深いのは、日本のマスコミ(私は日経しか読んでいないのですが、おそらく読売や産経もそうでしょう)では、歴史認識をめぐる日中・日韓の対立が、暴動の背景としてクローズアップされていないことです。むしろ日本の新聞では、中国政府がデモ隊の投石を警察官に制止させず、まるで暴動を是認するかのような態度を取っていることの方が前面に押し出されています。これに対しドイツの新聞では、日本政府が過去との対決を怠ってきたことが、反日デモの背景として浮き彫りにされています。

私は日本、中国、韓国でナショナリズム的な感情が高まっていることに、強い危惧を覚えます。これは、ドイツがポーランドやフランスとともに、過去何10年間にわたって歴史についての討議を繰り返してきたような、冷静なムードではありません。私は、われわれ日本人が過去60年間にわたって、宿題を怠ってきたというのが持論なのですが、私の危惧がはずれることを願っています。

敗戦60年目の今年、中国と韓国との間で外交関係が悪化する一方ですが、日本政府は国連安保理の常任理事会入りなど、もうあきらめるべきでしょう。両国は、暗に日本の常任理事会入りに反対する姿勢を示しています。いざという時に、後押ししてくれる友人をアジアに持たない日本。15年前からヨーロッパに住んでいる私には、ちょっとアジアの状況をみて悲しい気持ちを持たざるを得ません。

町村外相は、ドイツと日本は違うと国会で言いましたが、確かにナチスの犯罪と日本軍の蛮行を比べることはできません。しかし、友好的な関係を周辺国と持つのが好ましいことは、アジアでもヨーロッパでも同じです。過去60年間の外交の結果として、我々日本人がアジアにあまり友人がいないことを、外務大臣は軽視していて良いのでしょうか。